ベートーヴェン ピアノソナタ32番

ベートーヴェン

ベートーヴェン

ピアノソナタ32番 ハ短調 Op.111

1821年から1822年にかけて作曲。
2楽章で構成されるベートーヴェン最後のピアノソナタ。

ベートーヴェン ビアのソナタ32番

高校時代は第1楽章のほうが好きで、自分でも弾いていたが、
だんだん2楽章のほうが好きになってきた。

第2楽章は、変奏曲で、晩年の心境が感動的に歌い上げられます。
主題は、晩年の穏やかな心境から、過去には悲しいことも辛いこともあったが
それも今はいい思い出になっていると振り返ります。主題からして感動的。

第1、2変奏も同じ気持ちを深めながらだんだん盛り上がっていきます。

第3変奏では、夢中で頑張っていた若かかりし時を思い出し、
あの頃は忙しかったけど充実していた……、 苦しいこともあったけど、それを乗り越えたときには、
すばらしい達成感だったと回想シーンに入ります。

第4変奏では、一人になって、静かに遠くへ行ってしまいます。
このあたりから形式も何もなくなってゆき、ありのままの心を吐露します。
か細く孤独な魂は一人の世界に閉じこもりうちひしがれますが、
最後は「色々あったけどよかった」と、過去の孤独や苦労を
夢のような思い出の中にしまいます。

第5変奏では、苦労の連続だった人生に終わりを告げたベートーヴェンは、
もはやどこか雲の彼方にある向こうの世界に行ってしまい、
音楽の終了と共にこの世から消えてしまいます。

まさにベートーヴェン最後のピアノソナタにふさわしく、
ベートーヴェンの心の告白にぞくぞくします。
演奏は、エリー・ナイがすばらしい。