長南瑞生の部屋

意志力の科学

アメリカの心理学者、バウマイスターが、意志力について解説。
日本で昔から重視されている「精神力」の存在が、
実験的に確認されているとする、驚くべき現代心理学の本です。

子供の将来のために、早期教育や英才教育をする人がありますが、
その効果は一時的で、数年で消えてしまいます。
その他、大人になってから相対的に幸せに恵まれるかどうか、
子供のときに予測する指標は、現代でもほとんど見つかっていない状態です。
その中、ただ一つ分かっているのは、意志力による自己コントロール力だけ。

かつて、成績と自尊心の高さに相関関係があることが分かり、
アメリカのお母さんたちは、子供に自尊心を高める教育をしました。
子供はぐちゃぐちゃの絵を描いても、絶賛されます。

ところが最近、日系や中華系など、アメリカの人口の4%しかいない、
アジア系アメリカ人が、スタンフォード、コロンビア、コーネルなど、
エリート大学の学生の25%をしめ、
大学卒業後は、アメリカ人の平均の25%高い給与を得ていることが
報告されました。

日本人や中国人のお母さんたちは、
アメリカにおいても、何でもかんでもほめちぎる教育はせず、
「成績がよかったら何か買ってもらえる」的な
日本でよくある教育をしており、
それが、自己コントロール力を高めたもようです。

また、自尊心は、成績が上がる原因ではなく、
成績が上がったことによって自尊心が生まれてくることや、
自尊心が高まると、自分はそのままですばらしいと思ってしまい、
成績が下がることが発見されています。
当たり前ですよね(笑)

お釈迦さまは、幸せを生み出すあらゆる善い行いを
6つにまとめた「六度万行」の3番目に
「忍辱(にんにく)」を教えられています。
「忍辱」とは忍耐力のことです。

最近の心理学研究によっても、
この忍耐力がいかに幸せを生み出すかが
実証されてきているということでありましょう。

「言うは易く行うは難し」ですが、
自己コントロールに心がけて行きましょう。