モーツァルト ピアノ協奏曲27番

モーツァルト

モーツァルト

ピアノ協奏曲27番 変ロ長調 K.595

1791年、モーツァルト死の年に完成した最後のピアノ協奏曲

モーツァルト ピアノ協奏曲27番

第1楽章の第1主題から、もうこの世のものとは思えない。
ビアノの独奏が始まり、第1主題を繰り返すが、途中で急に寂しく孤独な本心を告白し始める。
ところが気を取り直して、それがあまりみんなから見えないように、
また明るくかわいく振る舞い始める。

モーツァルトがひとりぼっちで寂しそうにしているので、
「どうしたの?大丈夫?」
と聞くと、にっこり笑って
「うん、大丈夫☆」
と言うけど、全然大丈夫じゃない。

展開部では、第一主題を素材として、めくるめく流れの中で、あがないがたい運命に、
一人ぼっちで悲劇におちいるが、やがて、
「それももう仕方がないか」と、過去の思い出へと追いやり、
また無理に明るく振る舞い始め、第1主題に戻る。

再現部では、「もう大丈夫だよ」と、
ピアノでかわいく踊ってみせたりしてくれるが、
より一層無常観と、もはやどうしようもないあきらめに満ちている。
モーツァルトはもう、どんな言葉も届かない世界へ行ってしまっている。

演奏はやはり定番のバックハウスがすばらしい。